Journal of UOEH
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ジクロロプロパノールの毒性
―末梢血検査および血液生化学検査について―
今津 和彦藤代 一也井上 尚英古賀 実岩佐 敏生
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1992 年 14 巻 1 号 p. 73-76

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抄録
ウィスター系雄性ラットを用いてジクロロプ口パノール(DCPs)の二種の異性体, 1,3-dichloro-2-propanol(DC2P)と2, 3-dichloro-1-propanol(DC1P)の毒性を末梢血検査および血液生化学検査について検索した. DCPs投与群にはDC2P, DC1Pのそれぞれを生理食塩水で100mg/mlに希釈し, その0.1mlを皮下に注射した. 対照群には同量の生理食塩水を投与した. 投与後6時間のDC2P群では, 末梢血検査で白血球数と血小板数の有意な減少を認めた. 血液生化学検査では肝・胆道系酵素の著しい増加とアンモニアの増加がみられた. また, 尿素窒素, クレアチニンの軽度の増加を認めた. DC1P群には異常はみられなかった. これらの結果より, DCPsの二種の異性体の中でも少なくともDC2Pには肝毒性があり, しかも異性体によって差異が存在することが明らかとなった, このことは, 今後DCPs取り扱い作業職場において特にDC2Pには注意して作業環境測定やバイオロジカルモニタリングなどの管理を行う必要性を示すものと思われた.
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© 1992 産業医科大学
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