Journal of UOEH
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OA化とホワイトカラーの階層分化
井上 圭二
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1992 年 14 巻 4 号 p. 305-313

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抄録

情報化社会の進展とともに, 近年, 事務労働の領域ではOA化が急速に進展している. 本稿では, OA化の進展がホワイトカラーに与える影響を, とくにホワイトカラーの地位の変化の側面からみてみた. 考察の結果, OA化が進展するにつれ, 専門的技術職層の機能および重要性が増し, ライン管理者の機能が縮小化する方向にあることがわかる. つまり, 中間管理層の主要な職務であった計画, 決定といった職務のかなりの部分が専門的技術職層に吸収されてゆくのである. その結果, 中間管理層のうちより少数の者は重大な意思決定に参与するレベルへと上昇するが, 残りの大多数の者は定型的業務を遂行する位置に下ることになろう. またOA化の進展につれ, 一方に高度に知的で創造的な仕事に従事するホワイトカラーと, 他方ではコンピュータ化に伴う単純補助労働に従事する一般事務労働者をもつくりだしている. こうして, ホワイトカラー層の階層分化が生じている.

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© 1992 産業医科大学
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