Journal of UOEH
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健康診断時の随時採血による血清トリグリセリド値についての検討
岡 雄一姫野 悦郎中島 康秀黒岩 昭夫八谷 百合子大江 慶治
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1993 年 15 巻 1 号 p. 29-35

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抄録
今回, 我々は産業医科大学の学生および教職員の1989年度の健康診断の結果, 随時採血による血中脂質, 特に中性脂肪(以後, TGと略す)の高値者の問題に関し考察した. 対象症例は2524名(男性1257名, 女性1267名)で, 採血は, 午後1-3時の間の随時採血にて行った. TG 200 mg/dl以上の者(以後, 一次TG高値者と略す)は, 272名(10.8%, 男性246名, 女性26名)であった. 一次TG高値者の内, 早朝空腹時採血にて再検した者は121名(男性104名, 女性17名)で, それらから得られた血中TG値(以後, 二次TG)と一次TG値との間には, 有意な正の相関が得られた(r=0.63, N=121, P<0.001). 二次TG値が200 mg/dl以下を判別する一次TG値として相関関係の一次回帰式(y=0.69x-35.8)より得られた値は341.7 mg/dl以下と計算された. この場合False Negativeの確率は14.9%であった. 一次TG値のスクリーニング値を250 mg/dl以下とした場合, false negativeの確率は6.3%であり, 随時採血によるTGの一次スクリーニング値としては250 mg/dlを採用しても良いのではないかと考えられた.
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© 1993 産業医科大学
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