Journal of UOEH
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カーボンブラック作業者の呼吸器疾患
―ポーランド, 西欧, および米国の現状―
リザード ソーダ
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1994 年 16 巻 1 号 p. 91-95

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抄録
カーボンブラックは補強剤や色素として広く用いられている. しばしば, 「すす」と同じものと誤解されるが, 物理化学的性質は煤煙の「すす」と, カーボンブラックは全く異なっている. ポーランドにおける疫学的調査では, カーボンブラックの曝露を受けている作業者の呼吸器系の障害が起こる可能性を示唆する結果が得られているが, さらに調査が進められている. 西欧諸国での調査ではそのような可能性を支持する結果は得られていないが, 結論が出るまでにあと6年間の調査が必要である. 一方, 米国の調査では, カーボンブラックの作業現場での曝露で, 循環器系, 呼吸器系の疾患, あるいは悪性腫瘍のリスクは増加しないと報告されている. カーボンブラックのヒトの健康に対する影響の評価はさらに継続する必要がある.
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© 1994 産業医科大学
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