Journal of UOEH
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勤労者の肥満と肝機能障害 ― 1991年度産業医科大学職員定期健康診断成績の重回帰分析による検討
大江 慶治八谷 百合子下迫田 浩子
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1995 年 17 巻 1 号 p. 11-29

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抄録

各種成人病のリスクファクターとしての肥満の意義を明らかにする目的で, 1991年度産業医科大学職員定期健康診断の成績の重回帰分析を行い, 次の如き成績を得た. (1)1982年から1991年までの10年間に産業医科大学職員の肥満度の平均値は年毎に増加し, 1984年以降は1981年度に比して危険率5%以下で有意の高値を示した. (2)全員の重回帰分析において, 肥満と肝機能障害の関連が認められ, 肥満度, 年齢, 男女別に分類した各群の重回帰分析により, この関連が30才以下の男性の肥満者における肥満に対する肝機能障害の強い関与に由来することが明らかになった. (3)収縮期血圧に対しては肥満度ではなく加齢の関与を認めた. (4)血清総コレステロール値に対する肥満度の有意の関与を認めなかった. 以上の成績から, 30才以下の男性の肥満者における肥満は, 循環器系その他の障害よりも, 肝機能障害に強く関連すると考えられた.

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© 1995 産業医科大学
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