Journal of UOEH
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髄鞘Poの変異(Arg98→His)を示す遺伝性運動感覚性ニューロパチータイプⅠの家系 ― 第2家系の報告
大西 晃生柏田 恵理子橋本 朋子山本 辰紀村井 由之大橋 博文池上 徹早坂 清須藤 和則山森 俊治
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1996 年 18 巻 1 号 p. 19-29

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抄録
発端者は46歳女.緩徐進行性の両下肢の脱力とじんじん感を主訴とした.神経学的所見, 末梢神経伝導検査と腓腹神経の組織学的検査所見(発端者のみ)で, 発端者, 妹と弟および長女に同様の異常を認めた.発端者にNIDDMの合併を認めた.病歴では発端者の祖母と発端者の母方の叔父に遺伝性運動感覚性ニューロパチーと糖尿病の罹患が認められた.常染色体優性の遺伝性運動感覚性ニューロパチー(HMSN) typeⅠと診断した.発端者の遺伝子解析では17 p 11.2-12の重複は陰性であったが, Po蛋白の98番目のarginineのhistidineへの置換(Arg98→His)が認められた.Arginineのhistidineへの置換はPo蛋白の細胞膜外領域に位置し, 髄鞘変性の原因になると推定された.発端者は糖尿病に罹患していたが, 他の患者には糖尿病を認めなかった.本家系は, 私どもが以前初めて報告した家系と同一のArg98→His変異を示す第2番目の家系で, 文献上頻度の低いPo蛋白の変異を示すHMSN typeⅠB家系である。Codon 98の変異はHMSN typeⅠBの髄鞘異常に重要な役割を果たす可能性が考えられる.
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© 1996 産業医科大学
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