抄録
地球環境変化の影響に関する生態学的・環境疫学的研究における曝露指標とする目的で, 一般的気象データに基づく有害紫外線(UV-B)量の推定式を作成し, わが国の過去30年間にわたる地域別地上到達UV-B量を推定した.全天日射量, オゾン全量, 緯度, 暦月からUV-B量の月別値を推定し, 全国4地点における1991-93年の観測値と比較した結果, 近似性は極めて良好であった(r=0.98).全国の観測地点における推定UV-B量に関する1990年単年平均および1961年以降の期間別通年平均は, 観測地点緯度に対しておよそ同順位を示したが, 観測地点によっては±10%以上の期間別通年平均の変動, または, ±10位以上の順位変動を示した.このことは, 全天日射量・オゾン全量の気象条件が地上到達UV-B量に一定の影響を与えていることの反映であり, 緯度のみをUV-Bの代替指標とする従来手法に比べて, より精緻な曝露指標になり得ると考えられる.