Journal of UOEH
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坐骨神経切断・縫合処置後の末梢神経再生に対するBrain-Derived Neurotrophic Factorの投与効果
―形態計測学的研究―
大西 晃生山本 辰紀赫 秋月韓 漫夫酒井 昭典後藤 正隆村井 由之池田 正人
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1997 年 19 巻 1 号 p. 23-28

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抄録
Brain-derived neurotrophic factor (BDNF)は, 末梢神経ではシュワン細胞および線維芽細胞で産生され, 末梢性運動・感覚ニューロンの生存・維持, 発達および障害に伴う修復に重要な役割を果たすと判断される. 本研究ではSprague-Dawleyラットの坐骨神経を切断後縫合し, 組換えヒトBDNF 20 mg/kgを7日間連日皮下投与を行った実験群(n=8)とBDNF溶解液のみを同様に投与した対照群(n=9)を対象とした. 切断部位より3 mm遠位部の坐骨神経において, BDNF投与によって末梢神経の再生の早期に生じる軸索の発芽および伸長が促進されるか否かを組織計測学的に検討することを目的とした. 両群間で神経束総横断面積, 軸索密度(数/mm²), 神経あたりの軸索数(数/神経), 軸索直径の最大値および中央値ならびに軸索の直径分布の明らかな差は認められなかった. これらの結果より, 本研究の実験条件下ではBDNFが末梢神経線維の再生の早期の軸索の発芽および伸長を促進する作用は明らかでないと判断した.
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© 1997 産業医科大学
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