Journal of UOEH
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“メタロチオネイン '96”
安部 哲哉
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1997 年 19 巻 1 号 p. 57-61

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抄録
メタロチオネインは, 生体内において必須金属の恒常性維持や有害な重金属の解毒などに機能している低分子量の蛋白質である. メタロチオネインは, 現在までに4つのイソフォーム(MT-Ⅰ, -Ⅱ, -Ⅲ, -Ⅳ)がわかっている. ノックアウトマウスを用いた最近の研究などにより, 重金属や酸化ストレスからの生体の防御にはMT-ⅠやMT-Ⅱが関与しており, さらにアポトーシスの防御にも機能している. また, MT-Ⅱの亜鉛による遺伝子発現には, 転写因子zinc regulatory factor (ZRF)の活性化を介することがわかっている. MT-Ⅲは脳に特異的に発現し, 神経成長抑制因子と呼ばれていたが, 脳傷害後の神経組織修復において機能していることが明かにされた.
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© 1997 産業医科大学
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