1997 年 19 巻 4 号 p. 277-286
3'-メチル-4-ジメチルアミノアゾベンゼン(3'-Me-DAB)長期投与により, 化学発癌耐性ラット(DRH)および感受性ラット(呑竜)の肝ミクロソームにおけるシトクロームP450の経時的変化を検討した. 呑竜ラットにおいては, 投与中肝シトクロームP450含量は, 減少の傾向を示したが, DRHラットの肝では殆ど変動を示さなかった. 次にシトクロームP450のアイソザイムであるCYP1A1, CYP1A2, およびCYP2E1夫々の活性を測定した. その結果, 特にシトクロームP450の活性の動向のみで化学発癌に対する感受性を説明し得るほどの顕著な差異は両者の間で観察されなかった. 長期投与中における呑竜ラットの肝シトクロームP450含量の減少は, 3'-Me-DABによる肝傷害のためと考えられる.