Journal of UOEH
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バナジウムによる散乱陽子の統計理論による解析
牧 孝中野 正博隼田 和明森田 浩介
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1980 年 2 巻 1 号 p. 19-51

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抄録
バナジウム(51V)による陽子の弾性・非弾性散乱の実験を, 陽子エネルギー5.700-5.962 MeVで行った. 励起関数については, 測定角度90°, 105°, 118°, 135°, 150°, 163°の6点を入射陽子エネルギーのステップ2 keVで測り, 51Vの基底状態から第4励起状態までの陽子グループの励起関数を得た. 角度分布は50 keVステップで測定した. 得られた散乱断面積は陽子の入射エネルギーによって大きなゆらぎ現象を現わしている. 解析は統計理論に基づいて行った. エネルギー相関, 角度相関, チャンネル間相関, 確率分布, 分散の解析から平均準位巾 Γ は2.0 keV, 複合核の寿命 τ は3.3×10-19秒, 核半径係数roは1.1.8×10-13cm, 有効チャンネル数Neffは5-25, が導けた. 核反応機構は統計理論, Hauser-Feshbachの複合核理論や光学模型による計算, および角度分布の解析から, 断面積のうち直接反応過程からの寄与の割合が(p, po)反応では90-95%, (p, p1), (p, p2)反応では60-80%, (p, p3), (p, p4) 反応では0%であることが分った.
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© 1980 産業医科大学
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