抄録
XYレコーダにより記録される動心動揺線それ自体の面積,角度,最大長と幅,およびその比などその形態的特徴を代表する指標に関してある新しい測定基準を決めた. また動揺線の形態的類似性による分析をパターン分析とし, 双方により人の立位姿勢における重心動揺のもつ性格, 特徴を明確にしようとした.利き足の相異する者6名を混合した26名正常男子の動揺が測定, 分析され, その結果,利き足の相異による動揺曲線の基本的形態に差はなかった. しかし利き足に関係なく左右(水平方向)を基軸として動揺する者はその面積, 最大長, 幅において低くかつより集中的で細長な形態を示し, 前後を基軸にするに従い, その逆の形態的特徴を示すことが明確にされた. ついで測定方法の妥当性の検討とともに片足立位, 両足立位における利き足の機能的分化の互換性, ないし独自性と, 独自性として基本的には「歩行」行動からの規定が推定される両足立位姿勢が独自に持つ平衡調整の特質についても考察した.