抄録
脳腫瘍の放射線治療において, その効果を増強するため, 放射線増感剤であるbromodeoxyuridine(BUdR)と, そのDNAへのとり込みを促進する少量の抗代謝剤とを動脈内に持続注入し, 放射線を照射するいわゆるBAR療法が行われているが, その使用薬剤濃度に関してはまだ充分な検討がなされていない. 我々は培養細胞を用い, 種々の濃度の組み合わせのBUdRとmethotrexate(MTX)とで48時間処理した細胞にX線照射を行ない, コロニー形成能で生存率を計算し, それぞれの放射線増感効果を調べた. その結果, 二種の薬剤が最も効果的に相乗作用を示すのは, BUdR濃度0.1-0.5μg/ml, MTX濃度0.005-0.01μg/mlの時であった. 現在BAR療法に用いられている薬剤投与量はほぼBUdR1g/日, MTX1mg/日であり, これを血漿中濃度に換算するとBUdR5μg/ml, MTX0.005μg/mlとなる. 従ってin vitroの結果がそのままin vivo に応用できると仮定するならば, 臨床に用いるMTX濃度は適当と思われる. 臨床のBUdR濃度5μg/mlは, 相乗効果という面からは適当でないが, BUdR単独の場合のほぼ最大の放射線増感効果を示す濃度であり, その意味からは適当な濃度であると言えよう.