抄録
不適合輸血5症例(ABO式不適合2例, 不規則抗体による不適合3例)における凝固線溶系の変化を経時的に観察した. このうちABO式不適合の2例と, 抗E抗体保有者にE陽性血が輸血された一例に出血傾向がみられ, また後者には急性腎不全の合併をみた. これら3例の凝固検査では血小板減少, FDP増加, プラスミノゲン減少, アンチトロンビンⅢ減少などDICの発生を示す異常所見がみられ, 症状の改善とともに正常値に復した. これは不適合輸血に際してDICが出血傾向や急性腎不全の発生に重要な役割を果していることを示すものと考えられる. 同時に測定した補体系因子の変化を加味して, 不適合輸血による合併症の発生機序について考察を加えた.