Journal of UOEH
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ヘリカルCTを用いた肝の2相性CT
―造影・撮像条件および臨床的有用性についての検討―
吉川 里江
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1998 年 20 巻 1 号 p. 21-35

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抄録
肝の2相性ヘリカルCTでは造影条件や撮像タイミングで像が異なる可能性がある. 初めにdynamic CTを用いてtime-attenuation curveを作成し, 撮像条件を検討した. ヨード造影剤Iohexol 300 (300 mg/ml) 100mlをmonophaseで注入する条件では, 注入速度を2 ml/sとし, 造影剤注入開始後40 s前後に動脈相を, 80-120 s後に遅延相を撮影するのが至適であると結論した. この条件を用いた臨床例の検討では, 腫瘤径30 mm未満の肝細胞癌21病変中15病変(71.4%)は動脈相か遅延相のいずれか一方のみで指摘出来たことから, 2相性CTが必要であると考えられた. 特に腫瘤径10 mm未満の肝細胞癌では5病変中4病変(80%)が動脈相のみで指摘出来た. しかし, 腫瘍の血流分布が正常に近い肝細胞癌の検出は困難であり, CT検査のみでなく超音波等, 他の検査も併用する必要がある。肝細胞癌と血管腫の多くはCTで鑑別可能であったが, 腫瘤径15 mm未満の病変では同じ造影パターンを示す症例もみられ, 読影上注意すべきと思われた.
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© 1998 産業医科大学
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