抄録
著者は十数年間帰国子女教育に携わり, 通算950名程の帰国生徒と接してきた. 英国からの帰国生徒は, 他国からの帰国生徒には見られない独特の雰囲気や優れた特質を有し, 卒後進路の発展性が非常に高いように思われた. それは個人要因による単なる偶然なのか, 英国の教育や学校文化, 社会文化の影響なのかを調査し, 結果を解析, 検討したので報告する. 因子分析により6因子が抽出されたが, 英国からの帰国生徒は, 「責任感に関する因子」と「自立自主性を示す因子」と「躾や規律に関する因子」の3因子において, 他の帰国生徒との間に有意差が認められた. 他の解析手法からも同様の結果が得られた。英国の学校教育は日本のように単線教育ではなく, 複線型学校体系を有している. また英国の学校教育の二大特色である, 生徒の能力と進度に合わせた教育の個人主義と, 中央からあまり拘束されない教育の分権主義について, 帰国生徒の記述した体験を基に考察した.