抄録
これまで, 車いすフルマラソンでは, 選手の握力などの上肢筋力がレースタイムに影響することが報告されている. しかし, 車いすハーフマラソンでは上肢筋力とレースタイムの関係を調査した報告はない. 今回我々は大分国際車いすハーフマラソン部門に参加した4人の選手を対象にして, 肘伸展筋力の等運動性筋力測定を, 毎秒60°, 120°, 240°の角速度で行った. 選手は全員完走し, そのレースタイムとピークトルク値を比較した. 我々の測定では肘伸展筋力と車いすマラソンレースタイムとの間には全ての角速度において有意な相関を認めたが, 肘屈曲筋力については相関はみられなかった. この結果より, 車いすハーフマラソンにおいて幅広い角速度での筋力強化がレースタイムの改善に有用であることが考えられた.