抄録
アルコール性肝障害の進展には, 脂肪肝までと脂肪肝以降の肝細胞壊死・線維化進展の2相がある. 前者はエタノール代謝によるレドックス(redox state)の変化に基づいて, そのメカニズムを生化学的に明瞭に説明できるが, 後者はいまだに機序が不明確で, 強い個人差・性差がある. この第2相の肝障害進展初期の生体反応に, 『腸管由来エンドトキシン-活性化肝マクロファージ-好中球ケモカイン』カスケードが関与し, 活性化した肝マクロファージが中心的役割を担う. また, その程度の差がアルコール性肝障害の個人差を説明する可能性が示された.