抄録
某巻線ときほぐし作業場で発生した粉じんの定性定量, および粒径調査, さらに電子顕微鏡的観察を含む作業環境調査を実施した. 作業環境測定は, 面積約700m²の単位作業場所にA測定24点・B測定1点を設定した. A測定・B測定にはデジタル粉じん計を使用し, ローボリウム・エアーサンプラーはデジタル粉じん計にて得た値の変換計数を求めるために使用した. A測定の幾何平均値は0.64mg/m³, B測定値は0.82mg/m³であり作業環境測定の評価は第1管理区分であった. 浮遊粉じんの中に吸入性の7μm以下の粒子は約15-20%(休積%)存在した. 堆積粉じん中には金属粉じんと白色粉じんが存在しX線回折装置で分析した結果, 金属粉じんの成分はZnであり, 白色粉じんの成分はZn4CO3(OH)6・H2Oであった. また, 粉じん中にSiO2は含まれなかった. 走査電子顕微鏡で金属粉じんと白色粉じんの粒型を調査したが, どちらも繊維状物質ではなかった.