抄録
血管免疫芽細胞性リンパ節症(AILD)は1974年にFrizzeraにより確立された疾患概念であるが, 近年, 胸膜や肺病変の合併例の報告が増えている. 症例は82歳男性, 脳梗塞と慢性気管支炎で直方中央病院入院中に急激な全身のリンパ節腫大と多彩な全身症状を示し, リンパ節生検にて本症と診断した. 胸部X線写真とCTでは縦隔・肺門リンパ節の著明な腫大と右胸水貯留を認め, 右肺はほぼ全体が無気肺となった. 胸膜・肺病変を伴うAILDの症例のうち, 右肺全体の虚脱を生じた例は報告がなく, 無気肺を生じる疾患の鑑別のひとつとして本症も重要と考えられ, 報告した.