Journal of UOEH
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多剤耐性結核菌
―その耐性機構を中心に―
谷口 初美
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2000 年 22 巻 3 号 p. 269-282

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抄録
多剤耐性結核菌の出現が, 大きな問題になっている. 有効な抗結核薬を迅速に選択するため, 耐性機構の遺伝子レベルでの解析が急速に行われてきた. 多剤耐性結核菌とは, 最も有効な抗結核薬イソニアジド, リファンピシンに同時に耐性になった菌のことである. 結核菌の耐性は, 薬剤の標的部位の変化によるもので, 標的部位をコードする染色体上の遺伝子の自然突然変異によるものである. リファンピシンはrpoB遺伝子のコードするRNA polymeraseのβ subunitに結合してRNA合成を阻害する薬剤で, その耐性菌の約95%はこのrpoB遺伝子のほぼ中央部位に変位を有する. イソニアジドは結核菌の細胞壁のミコール酸合成阻害剤で, その耐性菌の約90%は, inhA, katG, ahpG遺伝子のいずれかに変異を有している. 他の抗結核薬に対する耐性も遺伝学的に解明されてきた. これらの結果をもとに, 迅速な感受性検査法も開発されている.
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© 2000 産業医科大学
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