Journal of UOEH
Online ISSN : 2187-2864
Print ISSN : 0387-821X
ISSN-L : 0387-821X
当科で経験したSwyer-James症候群の2例
岡部 由紀子吉井 千春松元 優子大南 諭史伊藤 寿朗矢寺 和博川尻 龍典城戸 優光
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 24 巻 1 号 p. 45-53

詳細
抄録

Swyer-James症候群(以下SJS)と診断した2症例を経験した. 症例1は25歳男性. 小児期に2回の肺炎罹患歴がある. 16歳時, 肺結核と診断され, 以後近医にて加療されたが, 陰影の軽快と増悪を繰り返すため当院紹介となった. 喀痰培養にてMycobacterium aviumが検出され, 非定型抗酸菌症の診断に至った. 一方, 胸部X線にて右下肺野の透過性の亢進認め, 諸検査よりSJSと診断したが, SJSと非定型抗酸菌症の合併例の報告は我々の検索範囲では, 極めて少なかった. 症例2は65歳女性. 労作時息切れを認め, 当院外来受診. 右呼吸音減弱と胸部X線写真上右肺の透過性亢進を認め, 入院精査にてSJSと診断した. SJSは, 報告が世界的にも数百例と比較的まれな疾患であり, 胸部X線所見が決め手となるため, 本症を念頭に置くことが診断の第一歩として重要である. 本稿ではSJSの疾患概念の普及目的にて, 最近の見解も含めて症例の報告をする.

著者関連情報
© 2002 産業医科大学
前の記事 次の記事
feedback
Top