抄録
当教室にて非クロストリジウム性ガス壊疽患者を4例経験したので報告する. 4例とも, すべて基礎疾患に糖尿病があった. レントゲン学的検査により, 4例とも病変部位に皮下ガス像を認めた. 非クロストリジウム性ガス壊疽の予後は不良と言われるが, 今回報告した4例はすべて救命することができた. 糖尿病患者の皮膚に感染徴候を認めた場合, 単純X線やcomputed tomography (CT) といったレントゲン学的検査によりガス像を検索することが重要である. 早期発見およびデブリードマンは予後にとって最も重要なことである. 今後, 生活習慣病として糖尿病の増加が予想され, 労働者の糖尿病患者数が増えることが考えられる. 労働者が糖尿病を患っている場合, 産業医は小さな外傷からでも本疾患のような重症感染症が発症することを念頭に入れ, 外傷を受けやすい職場などの作業環境管理を徹底する必要がある.