抄録
臭化メチルの急性毒性を調べるため, 高濃度の臭化メチルガスをddY系雄マウスおよびWistar系雄ラットに吸入曝露し, 生存時間および脳, 肺, 肝, 腎, 脾および睾丸の各臓器重量を測定した. 約400-10000ppmの濃度範囲では, 生存時間は曝露濃度とともに指数関数的に短くなった. ラットに比較するとマウスのほうが生存時間は短く, 低濃度になるほどその影響は顕著であった. 臓器重量は, 2000ppm以上の曝露で脾臓に有意の減少を示す場合が観察され, 腎重量が増加する傾向が認められた. 肺については, 湿重量と乾燥重量の差を求めたが, 乾湿重量差は3000ppm以上で曝露群の値が有意に大きくなっており, 高濃度曝露による肺水腫の可能性が示唆された.