Journal of UOEH
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拘束ストレス時の室傍核c-fos発現とHPA系・免疫系の反応
譚 正国永田 頒史
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2002 年 24 巻 2 号 p. 131-149

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抄録

ストレスが中枢神経系, 内分泌系, 免疫系及び消化管のような末梢器官に影響を及ぼすことはよく知られている. しかし, ストレスが長時間続いた時のこれらの系や器官に生じる急性ストレス反応後の適応あるいは回復のプロセスについては, 充分検討されていない. これらの系や器官の急性ストレス反応後の適応・回復過程を明らかにするために, 長時間拘束ストレス中のこれらの反応を経時的に調べた. その結果, ①PVNのc-fos mRNA発現は30分後にピークに達した. その2時間後には前値(ベースライン値)に戻り, c-fos蛋白は4時間後にピークに達した後, 16時間後には前値に戻った. ②ACTHは1時間後にピークに達した後, 8時間後に前値に戻った. コルチコステロンは1時間後にピークに達した後漸減したが, 4, 8, 16時間後でもなお高値を示した. ③血中白血球, リンパ球, helperT細胞, cytotoxic/suppressor T細胞計数は2時間後に最低値に達した後, 漸増した. ④胃潰瘍の発生率は8時間後に1/6匹, 16時間後に6/6匹であった. これらの結果から, 長時間拘束時のストレス反応のピークや適応現象には器官によって差がみられることが示唆された.

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© 2002 産業医科大学
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