Journal of UOEH
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ラットにおける臭化メチルガスの代謝系への影響および臭素イオンの体内動態
保利 一百道 敏久大和 浩石松 維世大藪 貴子田中 勇武
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2002 年 24 巻 2 号 p. 151-160

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抄録

Wistar系雄ラットに臭化メチルガスを1回または反復吸入曝露し, 臭化メチルの代謝系への影響について検討した. 曝露条件は, 1回曝露では2000 ppm, 1時間, 反復曝露では300 ppm, 1日6時間, 週3日, 4または8週間とした. 曝露終了後, 心臓から最大60日にわたり血液を採取し, ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析法により血清中の臭素イオンの経時変化を調べた. 1回曝露では, 臭素イオンは曝露終了後1日以内に急激に減少し, その後の減少速度は遅くなった. 一方, 反復曝露では, 臭素イオンは, 曝露終了直後からほぼ指数関数的に減少した. 実験結果から, 2コンパートメントモデルを用い臭素イオンのクリアランスについて検討した. 血中臭素イオンの生物学的半減期は1回曝露では9.1日, 反復曝露では5.4日であった. また, 反復曝露後に肝ミクロソーム中のチトクロムP450(CYP)量を測定したところ, 対照群との間に有意差はなかったが, 1回曝露後では肝CYP量は有意に低下した. これらの結果から, 高濃度急性曝露では臭化メチルの代謝速度は遅延することが考えられた.

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© 2002 産業医科大学
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