Journal of UOEH
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スポーツ飲料の希釈が鉄鋼業における暑熱作業者の飲料嗜好と水平衡に及ぼす影響
堀江 正知筒井 隆夫宮崎 彰吾
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キーワード: 熱中症, 暑熱, 労働者, 脱水, 補液
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2003 年 25 巻 1 号 p. 1-11

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抄録
1999年夏, 日勤帯の鉄鋼業高炉前の暑熱作業に従事する8人の熟練労働者を対象に, 4通り(原液, 2倍, 3倍, 5倍)に希釈し氷で冷やした市販の飲料水(Na+ 21mEq/ℓ, K+ 5mEq/ℓ, 糖質6.7g/dl)を自由に摂取させた. 通常の食事を摂取させ, 希釈率は労働者には知らせなかった. 午前中に24例中20例で1,5%以上の脱水を来たしたが, 異常な自覚症状は認めなかった. 全体平均では, 体温は0.34℃上昇し, 体重は1.77kg低下し, 飲料は1,875g摂取され, 水の損失は3,732gに達した. 午前中の体重変化は2倍と3倍の時に有意に少なかった. 尿中Na+農度は低下し, K+濃度は有意に上昇した. 希釈率の違いによって, 体温, 体重, 飲水量, 蒸泄量に有意差は認めなかった. 蓄尿中のNa+総排泄量は, 3倍希釈のときに最も多かった. 飲料の飲みやすさでは, 2倍希釈が最もよい結果となり原液は全員が濃すぎると判定した. 5倍希釈を推奨する結果は認めなかった.
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© 2003 産業医科大学
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