抄録
新幹線電気・軌道総合試験車(通称「ドクターイエロー」)は, 高精度に効率良く電気設備や線路などを点検し, 東海道新幹線の安全・安定輪送を支えている. 我々は産業医職場巡視の一環としてドクターイエローに添乗し, そこで働く社員の作業を観察した. 作業はモニター監視作業を含むVDT作業であった. 騒音・振動・温度・照度などの物理的作業環境については快適と評価した. しかし, 作業場が新幹線車内であることにより制約を受ける作業条件もある. JR東海では, このような鉄道会社特有の作業環境が数多く存在するため, 社員の健康管理を適切に遂行するには, 業務の特殊性を十分考慮した上で指導や助言を行うことが産業医に求められている.