Journal of UOEH
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産業廃棄物汚染土壌からの効率的なDNA抽出法
樋上 光雄福田 和正王 岩山内 和紀尾川 博昭谷口 初美
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2004 年 26 巻 1 号 p. 13-21

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抄録
硫化水素やメタンガスなどの有毒ガスは窒息死やガス爆発の原因となり, 産業廃棄物処分場において深刻な問題となっている. これらのガス産生には微生物代謝の関与が知られている. 汚染土壌における微生物叢の遺伝学的な評価のために簡便なDNA抽出方法を考案した. その方法はSDSによる溶菌と高濃度なリゾチームを加えることを基本とする. 溶菌率はリゾチーム濃度に依存しないがDNA回収量は加えるリゾチームの濃度(0〜2 mg/ml)に依存した. また溶菌活性を有しないBSAやインシュリンも高いDNA回収量を示した. このことは高濃度のタンパクが汚染土壌に混入しているDNA分解物質や吸着物質の作用を阻止している可能性を示唆した. この方法での汚染土壌深度0.3, 1.5, 3.0 mの3サンプルからのDNA回収量は, 一般的に用いられているリゾチームを使用しない方法からのDNA収量よりも約10倍高かった. 高濃度のタンパクを用いるこの新しく簡便な方法は汚染土壌での微生物叢研究に有用であると考えられる.
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© 2004 産業医科大学
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