2004 年 26 巻 1 号 p. 99-109
内視鏡洗浄室職員よりグルタルアルデヒド(GA)による目や喉の刺激などの訴えが提出され, 対策として内視鏡自動洗浄機とGA保存液を隔離し内視鏡自動洗浄機室が作られた. 隔離した室内には排気装置が設置され, 内視鏡自動洗浄機のパッキンも交換された. しかし, 改修工事後もなお内視鏡洗浄室にGA臭気が残ったため原因究明のための作業環境調査を実施した.
その結果, 隔離された内視鏡自動洗浄機室の換気量は米国内視鏡技師会のガイドラインや日本医療福祉設備協会の基準と比較して約2倍の換気量であることより, 隔離部分からのGAが作業範囲のGA濃度に影響を及ぼすことはなく, 隔離部分外に置かれた処置具の消毒用ポリバケツの周りに飛散したGAが気化する時に高濃度となることで, 作業範囲の濃度を上昇させることを突き止め改善した.
今回の事例より我々は, 発生源を明確にした上での作業環境改善の重要さを再確認した.