抄録
アンジオテンシンⅡ受容体格抗薬(ARB)は傷害腎でのTGF-β発現抑副作用を持ち, HMG-CoA還元酵素抑制剤であるスタチンはこの抑制作用をさらに増強したとの報告がある. 我々は肝線維化発生においてTGF-βが中心的役割を果していることを世界で初めて報告した. そこでスタチンとARBを併用すると線維化発生抑制効果が増強する可能性が考えられる. この論文ではCCl4投与による肝線維化動物モデルを用いて, pitavastatinとcandesartanの併用による肝線維化発生抑制効果を検討した. Candesartan投与群は生食投与群に比べ, TGF-βの発現量が減弱し, 線維化(組織学的および肝ヒドロキシプロリン定量により検討)が有意に抑制された. Pitavastatin単独群では線維化発生抑制効果を認めなかったが, candesartanと併用するとcandesartan単独群よりもさらに線維化発生が抑制された. 本研究ではその分子機構の詳細を明らかにすることはできなかったが, 臨床で頻用されている両剤の併用による肝臓線維化発生抑制作用を動物レベルで初めて明らかにすることができた.