2004 年 26 巻 3 号 p. 303-314
薬剤抵抗性の側頭葉てんかんに対する外科的治療として, 我々が行っているTailored temporal lobectomyについて報告した. 手術を施行した側頭葉てんかんは30例で頭蓋内電極の設置は15例に必要であった. 硬膜下電極設置にあたっては電極の大きさと設置する部位を考慮した正確な切開線をデザインする必要があるがTaylor法による頭皮上へのSylvian line, Rolandic lineの描出は開頭部位の決定に有用である. 外側側頭葉の必要最小限の摘出による下角への到達法や, 新たに開発した海馬表面からの皮質脳波記録用の針付きリング電極の紹介を含めて, 基本手技と工夫について述べた. 側頭葉てんかんの中で内側型は23例で, その内術後1年以上(平均44ヶ月)を経過した20例の手術成績は発作消失(Engel分類classⅠ)が18例(90%), 発作頻度の有意な減少(class Ⅲ)が2例(10%)であった. 現時点での成績は良好だが, 手術の長期効果について今後も観察を続ける必要がある.