Journal of UOEH
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花粉抗原を経鼻投与したC57BL/6マウスにおける免疫応答へのディーゼル曝露の影響
藤巻 秀和山元 昭二黒河 佳香
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2005 年 27 巻 1 号 p. 11-24

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抄録
ディーゼル排気曝露が免疫応答におけるTh1/Th2バランスに影響を及ぼし, 気道の炎症やアレルギー性疾患の増悪に関連していることが多くの報告から示唆されているが, そのメカニズムについては不明な点が多く残されている. 本報では, IgE低応答系でTh1優位に働くと考えられているC57BL/6のアレルギーモデルマウスにディーゼル排気そのもの(DE), または粒子成分を除去したガス状成分(Gas)の曝露を行い, 頚部リンパ節細胞からのケモカイン産生と血漿中の抗体価の変動について検討した. その結果, DE曝露とGas曝露で抗SBPIgG1抗体価の低下と抗SBPIgG2a抗体価の増加が見られた. 一方, 頚部リンパ節細胞からのケモカイン産生においては, Gas曝露群でのみMIP-1αとTARC産生の亢進が認められた. 以上の結果から, C57BL/6マウスにおいてディーゼル排気曝露は血漿中の抗体価のレベルではTh1タイプの増加を示した. しかし, 局所リンパ節でのケモカイン産生ではディーゼル排気曝露中のガス状成分でのみ増強効果がみられ, Th1タイプの優位性は認められなかった.
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© 2005 産業医科大学
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