抄録
本研究は, 胃切除術を受けた患者さんの骨代謝の変化を調べ, 食生活状況や身体活動状況が骨密度に及ぼす影響を検討することを目的とする. 対象は, 本研究に同意が得られ1年間追跡調査が実施できた27名である. 調査は, 超音波法による骨密度測定(SOS, 骨代謝パラメータ(BAP, DPD, NTx, 補正Ca, P)の測定, 身体活動は歩数測定, 食生活状況は質問紙調査による方法で行った. 結果は骨密度において, 術前に比べ, 術後は有意な変化を示さなかった. しかし, 術前に比較し, BAP, NTx, DPDに変化が示された. BAPは術後3週目の時点では有意に減少していたが, 術後3か月後より増加傾向を示し, 術後1年目では術前に比べ有意に増加した. NTx, DPDは, 術後3週・3ヶ月・6ヶ月のいずれの時点においても有意に増加したまま推移した. 骨代謝と食生活状況および身体状況の結果に有意な相関は示されなかった.