Journal of UOEH
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非反回下喉頭神経の二例 -迷走神経からの分岐レベルに関して-
小西 鉄巳福島 麻美渡辺 周松本 健太郎門脇 康二岡崎 啓介鶴留 洋輔永田 直幹伊藤 英明
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2005 年 27 巻 1 号 p. 89-95

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抄録
甲状腺・上皮小体手術において, 非反回下喉頭神経(NRILN)を有する二例を経験した. 症例一は71歳男性. 甲状腺乳頭癌に対して手術を施行. 右反回神経は通常の部位に存在せず, 輪状軟骨のレベルで右迷走神経より分岐し喉頭に向かうNRILNを確認した. 症例二は64歳女性. 腫瘍の局在が不明な原発性上皮小体機能亢進症に対して手術を施行. 本例の場合, NRILNは甲状腺下極のレベルで右迷走神経より分岐し喉頭に向かって上行していた. 両例とも術前造影CTと術後MR angiographyにて, 右鎖骨下動脈起始異常を認めた. 症例一の食道透視では右鎖骨下動脈の圧排による胸部食道の狭窄を認めた. 術前画像検査によってNRILNの存在診断は可能だがその分岐レベルを予測することは不可能である. NRILNの存在が疑われる場合, 分岐レベルが一様でないことを念頭に置いて手術を行う必要があると思われる.
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© 2005 産業医科大学
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