Journal of UOEH
Online ISSN : 2187-2864
Print ISSN : 0387-821X
ISSN-L : 0387-821X
2型糖尿病におけるナテグリニド適応症例についての検討
岸川 博文岡田 洋右神田 加壽子田中 良哉
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 27 巻 2 号 p. 179-188

詳細
抄録

ナテグリニドは速効・短時間型の新しいインスリン分泌促進薬であり, SU薬に比べ健常人に近いインスリン分泌動態を促すことにより食後過血糖を改善する. 近年, 食後過血糖の存在が動脈硬化を引き起こし, 非常に早期のIGTの段階から動脈硬化が進展していることが疫学的に報告されている. そのような病態に対してナテグリニドは非常に有用な薬剤と考えられるため, 2型糖尿病におけるナテグリニド有効適応症例について患者背景の観点から検討した. その結果, 1. 年齢が若い, 2. 細小血管障害が少ない, 3. 肥満といった症例に対してナテグリニドの有効性が高かった. また一般にナテグリニドの適応はHbA1c軽度上昇の症例と考えられているが, 今回の結果では治療前のHbA1cの値に拘わらず上記のような症例では有効であった. 特に肥満症例においては遅延・過剰分泌型のインスリン分泌が健常人に近い分泌動態となり, 高インスリン血症が明らかに改善されるため, ナテグリニドは早期で微小血管障害の少ない2型糖尿病患者に非常に生理的で有用な薬剤と考えられた.

著者関連情報
© 2005 産業医科大学
前の記事 次の記事
feedback
Top