抄録
長期血液透析患者で外転神経単独の麻痺を発症した3例を経験した. その内2例は同側の眼痛を伴っていた. CTやMRIでは麻痺の原因となるような病変は見当たらなかった. 3例とも経過観察中に麻痺の回復を認めた. 以上の経過よりischemic ocular motor nerve palsyと診断した. 末期腎不全患者は, ischemic ocular motor nerve palsyの危険因子(高血圧, 糖尿病, 粥状動脈硬化)をしばしば有しているにもかかわらず, 本症の合併はまれである.