Journal of UOEH
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労働者の定期健康診断結果に関する倫理意識調査 ― 中小規模事業所における健診情報のプライバシー保護とインフォームド・コンセント―
高橋 法人藤野 昭宏
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2006 年 28 巻 1 号 p. 85-101

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抄録
わが国では法的に義務付けられている定期健康診断(健診)結果に関する倫理意識について, 産業保健専門職が常在しない嘱託産業医契約事業所の労働者757名を村象として, 質問用紙による調査を実施した. 自分の健診情報が上司や同僚に知られていると回答した人は3〜5割を占めており, 2〜4割の人が本人の同意を得ずに健診情報が他に知られていると回答していた. これは健常者群よりも罹患者群でその傾向が強かった. その一方で, 健診情報が他に漏れても構わないとする人が過半数を超えていた. これらの結果から, 今回調査村象となった事業所はプライバシー保護の視点から倫理的に問題があり, 労働者自身の健診結果の守秘に関する倫理意識も高くない実態が見られた. しかし, 健診情報の公開に本人の同意が必要であると回答した人が85%以上に見られたことから, 労働者のインフォームド・コンセントに関する倫理意識は高いことが示唆された.
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© 2006 産業医科大学
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