Journal of UOEH
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二酸化チタンナノ粒子気管内投与後の体内動態
坂井 伸光松井 康人山元 昭二世良 耕一郎藤巻 秀和内山 厳雄
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2008 年 30 巻 1 号 p. 27-38

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抄録
近年, 光触媒としての二酸化チタン(TiO2)使用量が増加傾向にある. 一方で触媒効果を高めるために, TiO2粒子はナノレベルとなっている. 著者らは, これらの超微小粒子(粒子径が100nm以下の粒子)の生体影響に着目し, マウスへの気管内投与実験を行った. 粒子径が5, 100nmのTiO2粒子をマウスに気管内投与した. 投与から1, 4, 24時間後の血液, 肝臓, 肺, 腎臓, 脾臓, 脳におけるTi量を, イオン励起X線分光光度法(PIXE法), 誘導結合プラズマ質量分析法(ICP/MS)により定量した. その結果, 肺以外の臓器では, 対照群と投与群との間でTi量に有意な差は認められなかった. そこで, 投与液中のTiO2粒子を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察した. その結果, 粒径が約1μmの凝集した粒子が多数確認できた. 本実験では投与液中で粒子が凝集していたため, 肺胞から血液へ移行しなかった可能性が考えられた.
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© 2008 産業医科大学
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