抄録
産業医科大学病院では, 2003年10月に当院で頻用されるがん化学療法レジメンを収集管理し, 院内レジメン集を病棟や外来に配置した. しかし, レジメンをリアルタイムに管理することは困難であり, リスクマネジメントの観点から問題があった. そこで2006年6月に化学療法センターが中心となり医師, 看護師および薬剤師から構成されるがん化学療法レジメン検討委員会を設置し, 委員会で承認を得たレジメンのみを実施可能とするレジメン登録制度を構築した. レジメン登録は制吐剤などの前処置薬を含めたものとし, これをレジメンセット処方として, 専門修練医以上の臨床経験を有する医師が処方することにした. 本制度によりすべてのレジメンを把握でき, 薬剤師による疑義照会は抗がん剤の適正使用に関連した内容へと変化した. また, 委員会を通じて医師や看護師との情報交換が緊密となり, 医療事故防止の観点から評価されている.