Journal of UOEH
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米国における産業看護活動の実際
-7事業所の訪問を通して-
原 善子石原 逸子
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2008 年 30 巻 2 号 p. 221-234

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抄録

サンフランシスコ市内および近郊の事業所7ヶ所に訪問し, 米国の産業看護活動の実際を調査し, 日本と米国の産業看護職の役割の違いについてまとめた. 米国と日本の産業看護職の主な役割の違いは, ケースマネージャーと健康増進のスペシャリストであった. 今回訪問した7名のうち4名の米国の産業看護職は, ケースマネージャーとしての役割を担い, 労働損失の補填や労災に掛かる医療コストの削減に関する活動を行っていた. 一方, 健康増進のスペシャリストを主な役割とする産業看護職は1名と少なく, 30%もの日本の産業看護職が当該役割を実行している状況との違いが示された. 共通する役割は, 臨床的な業務・マネージャー・産業保健サービスのコーディネーターであった. 米国と日本の産業看護活動の違いは, 看護教育体制や資格制度, 健康診断の実施や産業医の雇用など法的要件, 労災・医療保険制度の産業保健に関する諸制度の違いによるものと推察された. 今回の訪問結果より, 専門性の高い教育による産業看護活動を強化する必要があるという示唆が得られた.

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© 2008 産業医科大学
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