抄録
高次脳機能障害者に神経心理学的検査を実施し, 雇用に関与する障害の特徴を検討した. 2002年2月〜2007年6月に社会復帰を目的に当院に入院した高次脳機能障害患者92名(平均年齢36.3歳, 範囲:16〜63歳, 受傷後期間35.6ヶ月)を対象とし, the Wechsler Intelligence Scale-Revised (WAIS-R), Wechsler Memory Scale-Revised (WMS-R), the Rivermead Behavioral Memory Test (RBMT), Frontal Assessment Battery (FAB) and Behavioral Assessment of Dysexecutive Syndrome (BADS)を実施した. 退院後の帰結により一般雇用, 保護雇用, 非雇用に分け, 3群間を比較した. WAISの下位検査項目は手引きの有意差基準をもとに相互比較をした. 一般雇用群は非雇用群に比べてWAIS-RのPerformance Intelligence Quotient (IQ), Full sale IQ, WMS-Rの言語性記憶, 視覚性記憶, 一般的記憶, 遅延再生, RBMTが有意に高得点であった. 保護雇用群は遅延再生が非雇用群よりも有意に高得点であった. FABとBADSには3群間で相違はなかった. WAIS-Rの下位検査項目では符号が低得点であった. 高次脳機能障害者の職場復帰の観点からは, IQと記憶が重要な要因である.