抄録
症例は47歳, 男性. 平成18年1月に自宅で心肺停止状態にて発見され当院搬送. 来院時両側瞳孔散大, 心室細動の状態であった. 心肺蘇生後, 自己心拍再開したが, V2-V5でのST上昇を認めたため同日心臓カテーテル検査施行. 左前下行枝に完全閉塞を認め, 経皮的冠動脈形成術を施行し循環動態は改善した. 入院後26病日に, 無石胆嚢炎を発症. 急性心筋梗塞後, 抗血小板薬内服中であり, 全身状態からも緊急手術は困難と判断し, 経皮経肝胆嚢穿刺吸引術(PTGBA: percutaneous transhepatic gallbladder aspiration)を同日施行, 胆嚢炎は軽快した. 手術困難な症例における無石胆嚢炎に対しては, 胆嚢穿刺による非侵襲的なアプローチが有効な治療法の一つとなり得ると考えられた.