Journal of UOEH
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韓国における産業建築物中のアスベスト含有物質と空気中アスベスト濃度
サンジュン チェーミーヒー ソックナン ワン ペク
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2010 年 32 巻 1 号 p. 31-43

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抄録
韓国においては, 最近, 建築物中のアスベスト含有物質(ACM)の取扱いが環境医学の最重要の問題の一つとなっている. 本研究は韓国における産業建築物中のアスベスト含有物質の存在状況と特徴および空気中アスベスト濃度を明らかにする目的で行った. 総数1285検体のアスベストの含有が推定される物質(PACM)の試料を全国の80事業所から収集し, そのPACM試料の40%に1%以上のアスベストが含まれていた. 全般的には, 調査した事業所の94%でアスベスト含有物質が存在した. アスベスト含有物質が存在する事業所の分布については, 地域, 従業員数, 事業形態による有意差はなかった. 調査した建築物中の総アスベスト含有物質面積は436, 710㎡で, 天井タイルのACMがその61%を占め, 以下屋根のACM(32%), 壁面ACM(6.1%), および暖房システム断熱材(TSI)であった. アスベストの種類については, 全ACMの98%が白石綿(chrysotile)であり, 青石綿(crocidolite)は検出されなかった. 建材の種類別の比較は, 最優先度での定期的管理が必要とされるのは天井タイルであり, 次に屋根材, TSI, および壁面材であることを示している. 現場のACMの攪乱が起こらないように採取し, 位相差顕微鏡法で解析した空気中アスベストの平均濃度は0.0028fibers/ccであり, すべての測定で韓国の屋内空気環境についての勧告値(0.01fibers/cc)よりも下回っていた.
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© 2010 産業医科大学
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