Journal of UOEH
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運動負荷テストにおける女性低体力者へのプロトコル設定法
江口 泰正大和 浩
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2010 年 32 巻 1 号 p. 53-61

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抄録
現在, 日本医師会やアメリカスポーツ医学会(ACSM)が推奨している自転車エルゴメーターによる最大下運動負荷テストのプロトコルは, もっとも弱いパターンでも, 25-50-75-100W設定になっている. この設定では, 特に女性の中に, 第3負荷の定常状態に至る前に負荷が重すぎて継続不能になる結果, 有酸素能力の評価を十分にできなくなる例がある. この問題点と解決方法について検討を行った. 84名の成人女性に対して20〜120Wの範囲で自転車エルゴメーターによる多段階漸増負荷テストを実施した結果, 運動負荷テストの終了目安である70%心拍数予備能(Heart Rate Reserve: HRR)における推定負荷が75Wを下回っていたのは, 22名(26.2%)であった. また, 自覚的運動強度(Rating of Perceived Exertion)による終了目安であるBorgスケール15以上の「きつい」状態に至った負荷が75W以下は29名(34.5%)で, 60W以下は19名(22.6%)であった. したがって, もう一段階軽い負荷のプロトコルパターンを準備する必要があると考えられた. 一方, このような負荷パターンを事前に設定する時, 体重を参考にする場合が多いが, 70%HRR時負荷量との相関係数はr=0.269に過ぎなかった. しかし, 体重の代わりに除脂肪量との関係で見るとr=0.404で, より相関が強かった. このことから体重よりも除脂肪量を参考にする方が適切なプロトコル設定の精度を向上できると考えられる.
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© 2010 産業医科大学
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