抄録
ドライ・セミドライ・ウェット各作業方式による学校給食調理場の温熱環境条件を比較することで, 特にセミドライ方式による調理室内環境の改善効果を検討した. 小学校単独給食調理場2校を対象とし, セミドライ方式のA校では, 2006年度夏季および冬季に, ドライ方式のB校は, 2006年度夏季に環境調査を実施した. そのうちA校では1990年に, ウェット方式作業中に同様な環境調査が実施されており, その際の測定値と比較した. 調理室内と外気の絶対湿度の差を作業による加湿を表す指標とした. A校では, 夏季午前の調理作業および冬季午後の洗浄作業中に, セミドライ方式の場合に絶対湿度差がウェット方式より有意に小さくなっており, 床がより乾いた状態で維持されていることが認められた. セミドライ方式やドライ方式に移行することは, 室内の湿度上昇が抑制され, 冬場の足元の冷えの改善や食品衛生管理上のメリットがあるだけでなく, 作業者の負担軽減にも寄与するものと考えられる.