作業者の主観的作業速度評価は, 実際の作業時間よりも従事する作業に含まれる筋骨格系障害のリスクファクターの有無による影響を受けると考えられる. そこで, 本研究では筋骨格系障害に対する作業負担評価指標としての主観的作業速度評価の有効性について検討することを目的として, 自動車製造などの流れ作業方式の製造ラインに従事する作業者の自記式質問紙調査データ(n=1,579)を分析した. その結果, 主観的作業速度評価は望ましくない作業環境, 不良作業姿勢や動作, 重量物の取り扱い頻度との有意な関連が認められた. 主観的作業速度評価が「非常に速い」は, そうでない者と比較して, 従事する業務の中に職業性腰痛のリスクファクターがより多く含まれる傾向が有意に高いことが示された. 本研究の結果は, 作業負担評価指標としての主観的作業速度評価の有効注を支持するものであった.