抄録
大学生の健康促進のための習慣的運動の効果を検証するために,看護学科女子学生を対象として8週間の軽強度運動介入を行い,その介入前と介入後の体組成と体力レベルを測定するとともに,質問紙によって精神的健康度の変化を検討した.介入前の運動量は0.9 ± 0.2 METs・時/週であり,8週間の介入期間中は平均で6.6 ± 0.7 METs・時/週に増加した(P < 0.0001).運動介入よって体重は変化しなかったが,体脂肪率(介入前 26.8 ± 0.5%,介入後 24.9 ± 0.5%,P < 0.01)は減少し,全身筋肉率(介入前 69.1 ± 0.5%,介入後 70.8 ± 0.4%,P < 0.01)は増加した.筋力,筋持久力,柔軟性,敏捷性および瞬発力のいずれの体力テスト項目においても,介入によって有意な成績の向上が認められた.精神的健康度に関連したスコアは運動介入によって有意に増加した.8週間の継続的運動は看護女子学生の身体的および精神的健康の向上に有効であることが示唆された.