抄録
岩手県は面積が広く人口密度が低い県であり,効率的に医療を提供するための仕組みが必要となっている.本県の保健医療計画には一般的な医療サービスを提供する医療圏である2次医療圏が9つ設定されている.また,岩手県内に診断群分類(DPC)に基づき定額支払い制度を導入している病院(DPC対象病院)が14施設あるが県行政の中心である盛岡医療圏に4病院が集中している.今回我々は岩手県のがん診療のあり方を考察するため,厚生労働省が公開しているDPCデータを用いて肺がん,胃がん,肝臓がん,大腸がん,乳がんの5大がんについて月別患者数推移,DPC対象病院ごとの受け入れ可能患者数推計および実績数との比較を行った.岩手県ではがんの種類によって受療動向が異なることが明らかになった.また,効率的ながん医療の提供のため,医療圏の見直しおよび県内DPC病院の診療機能のすみわけを行うことが望ましいと考えられた.