Journal of UOEH
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長期間Angiotensin Converting Enzyme阻害薬服用中に発症した致死的血管性浮腫の1例
中村 倫太郎二瓶 俊一 荒井 秀明長田 圭司伊佐 泰樹原山 信也相原 啓二蒲地 正幸
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2016 年 38 巻 1 号 p. 61-64

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抄録
アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は高血圧症第1選択薬として広く使用されているが,ACE阻害薬による血管性浮腫の認識は低い.今回我々は服用開始から11年という長期経過で,致死的な血管性浮腫を発症した症例を経験した.症例は60歳代男性.高血圧のため11年前よりACE阻害薬服用開始.呼吸困難感,舌および頸部の腫脹が出現し近医受診.気道狭窄を疑われ当院紹介.来院時,口腔内腫脹はさらに進行し,気管支鏡下に気管挿管し,気道管理を開始した.入院後ACE阻害薬を中止したところ,浮腫は徐々に改善し,第3病日抜管.第5病日退院となった.経過から,本症例はACE阻害薬による血管性浮腫と考えた.気道閉塞の危険があるにもかかわらず,ACE阻害薬,特に長期服用例における血管性浮腫の認知度が低いと示唆されるため,長期服用例においても,ACE阻害薬による血管性浮腫を考慮する必要がある.
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© 2016 産業医科大学
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